お掃除します。

掃除をする日々、また掃除に対して思うことなどを綴ります。

閑話休題「グリーングリーン」

あと二日で二週間でした。


別荘にこもってひたすら畑を作ったり草をとったりした日々もそろそろ終わりだと、
いろいろ片付けを初めていた矢先です。


夕方に兄から泣きながら父が亡くなったと電話があり、
しかしそれでもホスピスへは入れないので私は翌日の朝、
ホスピスから運ばれ出てくる玄関口で父を待ち受けることにしました。


いつもは早朝にまず草取りをすることを日課にしていたのですが、
その日はさすがにできませんでした。
起き上がったら早目に身支度を整えて予定より早く車に乗りました。


別荘にいる間、ずっと父の車を使っていたのですが、
乗るといつも地方局のNHKのラジオが流れてきます。
聴きたいワケではなかったのですが、操作方法がわからずoffに出来ないまま、
いつも運転中はそのラジオを流していました。


その朝は、エンジンをかけたら音楽がいきなり流れてきました。
少年合唱団が歌う「グリーングリーン」です。


五月の始まりで、緑が綺麗で、
天気も良い日だったので、
田舎道をホスピスへ向かい車を走らせながら、
まさに「グリーングリーン」にふさわしい時期だなと思いながら、
あの明るい曲調の音楽を聴き流していました。


それでふと、
あれこの曲は父親が死んじゃう曲なんだと気付いたんです。


いや、それから気になっていろいろ調べたら、
「母親と離婚して父親が出ていく曲」だの、
「父親が戦地へ行く曲」だのという解釈があるようでしたが、
なんにしろ父親が遠いどこかへ行ってしまう曲でした。


出来過ぎだなあ。


最後に見た父はオーダーメイドのシャツと新しいスーツを着ていました。


もっと恐れず飛び込んでいれば、私たち、もう少し早く仲良くできたかもしれないねと、
手を合わせながら思いました。

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